
先日ご報告した新しいプロジェクト”19books“の相方である奥山一浩さんに、彼が奥さんのしのぶさんとともに経営しているお店「PICKUP+oncafe」や、彼が18年前にスタートさせたイヴェント”HOLLYWOOD”について、これまでの歴史を簡単に振り返ってもらいました。そしてもちろん”19books“に対する意気込みなども。(ミズモト)
MUSIC SHOP PICKUPは昭和56年に先代である父親が創業しました。
その後、何回かのリニューアルを行い、約7年前に「oncafe」を併設して現在に至ります。
ぼくは地元の高校を卒業後、札幌へ進学しました。卒業後はCD&レコード問屋の「日本レコード販売網」へ就職。そして26歳の頃に家業を継ぐため別海へ里帰り。
その当時、よく当店を利用してくれていた学生さんが、進学先の札幌でDJを始めたのですが、彼が帰省した折に『別海でDJイベントをやりたい』と提案を受けました。
そこで別海のBAR「MAG. HOUSE / Honkytonk Bar PEACE」の前田利彦さんに相談をしたり、サウンドシステムを別海のお寺「本覚寺」の副住職・加藤泰和さん所有のものをお借りして、1997年にスタートさせたのが”HOLLYWOOD“です。
その学生さんが道内指折りのセレクトショップ、中標津「RANGE LIFE」の半田尊さん。彼は札幌の老舗クラブ「プレシャス・ホール」でイベント”Shabby Man Walks A Shabby Dog”を主催していました。もう一人、友人で高校教師の清野俊也さんがHOLLYWOODの初期メンバーです。清野俊也さんの教え子たちが今もなお”HOLLYWOOD“を継承しています。

この三月、お店をさらにリニューアルしました。
昨今の音楽不況といわれる時代であっても、素晴らしい音楽作品は続々と発表されています。ただ、それらが聴かれるべき人にちゃんと届いているのか、ぼくは少し疑問を持っています。それだけにまだまだミュージックショップがやらなければならないことはたくさんあるはずだ、とも。
店舗を新しくするにあたっては、これまで積み重ねてきたことにプラスして、そうした作品をもう一度フィルタリングし直すことが大事ではないかと思いました。
道東の風景にアジャストする音、生活と共存し、気分を盛り上げてくれたり、リラックスさせてくれる音───そんなポップ・ミュージックをぼく自身が新鮮な気持ちで紹介していきたいのです。またそれらを魅力的に見せる額縁のような空間として、新しいPICKUPが機能すればいいなと考えています。
oncafeについても同様の効能がある空間=居場所を目指しました。カフェを利用することで、PICKUPで紹介する音楽同様の効果があればいいな、と。そのために店内でご飲食いただくだけでなく、国内各地から厳選したグロッサリーをご紹介するなど、より豊かな生活を送っていただけるように提案しています。
今回のリニューアルに関して刺激を受けたのが、既存のミュージックショップではなく、雑誌『& Premium』の「本屋が好き。」特集に登場されていた熱意と斬新なアイデアにあふれた魅力的な店主の方々や、個性的な書店でした。ぼくにとっては感動的な、”初期衝動”がたくさん詰まっていました。
また、2010年にミズモトさんと一緒に企画&実施したイヴェント(CENTRAL PERK)と古本市の楽しい思い出も重なり、今回のプロジェクトのアイディアになったのです。
今、自分の街に何が欲しいか───といったら<古本屋>を挙げたい。昔も今も、街のミュージックショップや本屋は、その町の文化の一端を担う、とても重要な場所であるはず。魅力的な町には魅力的な店がある、と、たしかクリエーション・レコードのアラン・マッギーも言っていたような。
リアルな感情はリアルな場所でしか生まれないはず、と信じています。
小粒なのにピリっと辛いダイナマイト・キッドのような”19books”の本棚。
ここから始まる息吹は、別海だけでなく、いろんな町の魅力的な文化を育ててくれる───と夢見ています。
<メールでのインタビュー回答を元に再構成しました>
奥山一浩(おくやま・かずひろ)
昭和44年10月27日生まれ。PICKUP+oncafe店主。<どんな音楽にも”良い”とか”感動する”といった感情が生まれる>をモットーに毎日円盤とフライパン片手に奮闘する45歳。前田日明を尊敬しています。
MUSIC SHOP PICKUP+oncafe
北海道野付郡別海町別海旭町67-3
営業時間 : 11:00~19:00(冬季 11〜16時)
電話番号 : 0153-75-0813
- [19books]Good Things Come in Small Packages - 2015/04/08